炎上事件簿
大分県湯布院温泉でユースホステルの経営者が、非適切ツイートをして炎上した事件。
なぜ炎上が大きく広がり、取り返しのつかない事態になったのか検証してみたいと思います。
炎上の経緯
宿主は次の発言を投稿して炎上しました。問題のツイートの中から、発言の経緯が読み取れます。
「昨日宿泊の男子学生4人組に由布院の良かった所を聞くと『下の湯です!』と即答。そこは町で唯一の公衆混浴温泉。彼らが入浴中に若い女性が入ってきたそうです。一生の想い出になったとか。世界の女性陣には知って欲しい。皆さんには特大の魅力が備わっているという事を!」
この発言はあっという間にツイッターで炎上、まとめサイトで拡散されます。
「混浴の宣伝として一番しちゃだめなやつだ」
「これ見て女性客がどう思うか考えなかったの?気持ち悪いとしか思えない」
「湯布院の魅力は女性の裸が見える混浴ってこと?」
「自分の妻や娘に、『男性方を喜ばせるために混浴に入って』と言えますか?」という声が殺到しました。
コメントを読まず、ツイートを削除しなかったために更に炎上
本人は、朝1回だけパソコンからツイートすることが日課でした。本人談によると携帯も持っていないということで、投稿だけはするがコメントや反響については観なかった、と言います。そのため炎上に気づかず問題の投稿を放置、関係のない投稿がその後続きました。問題の投稿から一週間以上経っていました。本人は周囲から「とんでもないことになってるよ」といわれ初めて事の重大性に気づいて謝罪したのでした。その謝罪文がこちらです。
「この度は僕の不適切な表現により多くの方に不愉快な思いをさせてしまい申し訳ありません」「時数制限がある中軽い気持ちで書き込んでしまったのですが公の温泉宿の経営者としてあるまじき表現だったと思います。今後はこのようなことが二度とないように心がけていきます。本当に申し訳ありませんでした(原文ママ)」
ただ、謝罪しながらも「どう書けばいいか分からないのですが女性軽視や性的な思いで書き込んだつもりは決してありません」と断言しました。
しかし問題投稿は削除されずそのままになっていたため、更にそれが原因で炎上、
結局、最初の問題投稿から9日間も経って、ようやく削除されました。
何が問題だったのか
一番の問題は、やはり宿を経営している立場を忘れて、混浴に入ってきた若い女性を観光資源のごとく、言ってしまったところにあります。「女性軽視や性的な思いで書き込んだつもりは決してない」という経営者の気持ちには偽りはないと思います。ですが、「女性陣には知って欲しい。皆さんには特大の魅力が備わっているという事を!」という文面だけ読めば、十分に性的なことを混浴文化と絡めて語っています。
本人はそうではなく、混浴という文化が日本にはある、性的な意味ではなく素晴らしい資源だと思う、という意味で言ったのかもしれません。現に過去の投稿で「混浴は文化であり、いやらしい目で入浴するのはダメ」という事も言っています。つまり本人は性的な意味で混浴を肯定する人ではなかった、しかし書いた文章が違った意味に取られてしまった、というのが事実なのだと思います。
この事件の教訓から学ぶとすれば「自分の立場をわきまえて発言すべし」「書いたことが違った意味に取られることもあるから、公式アカウントによるオフィシャルな発言は、誰かに読んでもらって投稿しよう」ということでしょう。
SNSのリテラシーで一番大事なこと「傾聴の態度」
それは、「傾聴の態度」というものです。読んで字の通り、人の声に耳を傾ける、ということです。問題投稿で見落としてならないのは、発言内容もそうですが、炎上が投稿のあった日から3日後に始まっているという事実です。つまり「間違って投稿してしまった」と気づいていれば、その間に削除できたわけです。
もっと言えば、3日後にプチ炎上が始まった時点で「申し訳ありませんでした」と問題ツイートを削除しておけば、ここまで炎上しなかったと言えます。この経営者には傾聴の態度がなく、情報発信ばかりしていたという点です。
これは明らかにSNSリテラシーの問題です。ソーシャルメディア・ガイドラインというものがあります。その中に公式アカウントで発信する際に「傾聴の態度」をしっかり持て、ということが書かれています。この点をしっかり理解していれば、炎上が種火の段階で火消しが出来た、という事例だと言えるでしょう。
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