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ジェンダー炎上とCM その① 性的・エロ表現によるジェンダー炎上


ジェンダー

ジェンダーとは「社会的・心理的」性別をさす言葉である。単に性別が男女別、生物学的にいうオスとメスの区別を意味するのに対して、ジェンダーは「社会的・心理的」な性別の意味で使われる。人間社会が要求する男女の役割、男女の社会的性差を指す言葉として用いられることが多い。

だからジェンダーと書かれたり叫ばれたりすると、その多くが男女、とくに女性の社会的な差別や心理的な抑圧という話に展開する。

最近、ジェンダー炎上が話題になるが、特に企業CM、広告の作り方が問題になって炎上する例が増えている。理由はSNSの普及で、だれでも簡単にワンクリックで投稿したりコメントを付けたりできるようになったためだ。

多くの声は圧倒的に女性からのものだ。受け手の女性がどう感じるかで炎上するかどうかが決まると言っても過言ではない。炎上しても仕方がないコンテンツとはなにか、それとも視聴者が気に入らないから規制したいだけのコンテンツなのか、同じ炎上でもちゃんと内容を検証しないと、次に繋がる議論にならないだろう。最近のジェンダーに関するネット炎上の事例を通して、何が問題で炎上したのか、その原因と受け手(消費者)の言い分、それに対する広告主、CM製作側の対応について検証する。

第一回は、性的・エロ表現からジェンダー炎上したCM事例を取り上げる。

岐阜県・美濃加茂市観光ポスター「巨乳アニメ」炎上

人気アニメ「のうりん」とコラボし作成した、スタンプラリー宣伝ポスターのキャラクターが巨乳で「エロすぎる」「不愉快」と批判され炎上した。その後市は批判を受けてイラストを差し替えた。炎上したのは、良田胡蝶というキャラ。バスト94cmで「ボイン良田」と呼ばれ、原作アニメでは随一の巨乳の設定だった。そもそもこのアニメは美濃加茂市をモデルに、農業高校の生徒たちを描いた学園ラブコメディであり、ファンにとって美濃加茂市は聖地のようなもの。そのファンの取り込みを狙ったポスターだったが、ツイッターでフェミニズム的な言動を繰り広げている「ツイフェミ」と呼ばれるユーザーの目に止まり、炎上したというのが経緯である。アニメファンからは「のうりんと美濃加茂市はすごくいい関係。何も知らない人たちが荒らすな」「観光に来る気もない連中の意見を気にする必要ない」など声が上がった。

炎上対応について問題点は

美濃加茂市はちゃんと事情を説明をして理解を求めれば良かったかもしれない。原作に登場するキャラクターを複数使用しており、良田胡蝶というキャラは登場する中の一人に過ぎない。原作に忠実にポスターで再現したものである。このキャラクターのみを観て批判されているのは不幸なことで、しっかり説明をした後に取り下げの是非を判断をすればよかったのではないだろうか。

鹿児島県・志布志市「うなぎ少女CM」炎上

うなぎ養殖で日本一の鹿児島県の中で、55%シェアを誇る志布志市。そのふるさと納税の返礼品がうなぎで、そのインターネット上のPR動画が炎上した。動画の内容を再現するために書いてみたが、それも頷ける。こんな具合だ。

プールに浮かスクール水着の少女。起き上がり「養って」と少女が訴えかける。「僕は決めた」「彼女のために、できる限りのことをしてやる」と続く。ナレーションで「いつものびのびと過ごせるようにし」「美味しいものをいっぱい食べさせ」・・・一連のフレーズを並べてみても、うなぎの話と全くわからない内容だ。というより少女を誘拐して養うことを連想してしまう。・・・・そして少女はまたプールに飛び込み去っていく。その名は「うな子」。ここではじめて少女が養殖うなぎだったと知る。・・・「志布志の豊かな自然で育ちました」というナレーションにかぶせるテロップが「大切に養っています」。ここでうなぎを蒲焼きにしているシーンが出てきて、うなぎ日本一の養殖でNO.1のテロップが流れる。そして「志布志のうなぎをふるさと納税で」というCMの目的にようやく到達する。これで終わりかと思えば、新たに幼い水着の少女が登場し、懇願するように「養って」とつぶやき動画がここで終了となる。

これを観た視聴者からは「変態」「少女を誘拐して拉致監禁ですか」「気持ち悪さ以外感じない」「いやらしい」、そして「カニバリズムを想起させる」というコメントまで出る始末。内容を支持する書き込みは皆無だった。

炎上対応について問題点は

製作者サイドは性的な意図を持って作っていない、と弁解したが少女、養う、水着という時点で嫌悪感を抱く人が少なくない、ということがわからなかっただろうか。児童ポルノに厳しい欧米メディアが「多発する日本の女性差別の例」として記事に取り上げたこともあり、世界的に志布志市の知名度が悪い意味で拡散したことも大きなマイナスだった。うなぎの養殖業者も風評被害にさらされる危険があったわけで、速やかに削除したことは良かった。しかし自治体がつくるにはなんともお粗末で、美濃加茂市の事例が思いがけない炎上とすれば、こちらは炎上必須の内容に気づかない間抜けな炎上といったところか。しかし結果としてだが、ふるさと納税額が例年の3倍になった事実は知っておく必要がある。こういうことが起きるから、ネット上の広告・CMでは炎上マーケティングの誘惑がいつまでたっても断ち切れないのかもしれない。

サントリー・新製品ビールPR動画「絶頂うまい出張」炎上

新製品ビール「頂」をプロモーションするため、インターネット上で公開された動画が炎上。「アダルトビデオを連想」「性的なアピールが気持ち悪い」「女性の描かれ方が男性目線で下品」など、男性にとって都合の良い道具として女性が描かれているとして批判を受けた。サントリーは謝罪して動画を非公開にした。

内容は、全国6都市に出張したサラリーマンを若い女性がお店でお相手するという設定で、ご当地グルメや方言と合わせて男性とのやり取りが演出されている。セリフでは、「肉汁いっぱい出ました」「お酒飲みながらしゃぶるのがうみゃあ」 「暑くないと? もぉ元気良すぎやん!」などのセックスを連想させる表現で散りばめられ、最後にビール「頂」を女性が「コックゥ~ん! しちゃった」と言いながら美味しそうに飲み干すというもの。

女性は人気グラビアアイドルを起用、大きな胸を強調して映したり、ソーセージなど棒状のものを食べたりして、AVなどで見られる表現が多用されているのが特徴。

この演出に、視聴者からは「気持ち悪いCMだよな、AVかよ」「出張先で出会うのがなんで若い巨乳の女ばかりなんだ」「サントリーも下品になったもんだ」という批判コメントが殺到した。

炎上対応について問題点は

どこから観ても、炎上を狙って作ったとしか言えない確信犯的なCMであり、モラルや倫理の面から炎上を批判しても意味をなさない内容のもの。サントリーの広告部といえば、CM制作では歴史と伝統、傑出したクリエータを輩出した名門である。そのことを考え合わせれば、代理店の制作現場の暴走とは思えず、どこまでも推測だがバズれば少々の炎上は構わない、という広告部の割り切りがあったのではないだろうか。あまりの反響に驚いて、会社の上層部が非公開にした、ということではないかと思う。商品名「頂」という名前は結果としてネットで拡散され、ユーザーに届いたわけで、炎上マーケティング的には成功したのかもしれない。しかしこれを観た女性は、商品に対して嫌悪感を持つのは間違いなく、サントリーという会社に対して悪いイメージがついた点で差し引きマイナスといったところではないだろうか。

宮城県・壇蜜主演PR動画「涼・宮城の夏」炎上

観光キャンペーン「仙台・宮城『伊達な旅』夏キャンペーン2017」の一環として動画配信サイト「ユーチューブ」で配信したCMが炎上した。壇蜜が主演してるその内容とは・・・

壇蜜の唇のアップとともに「宮城、行っちゃう」、竜宮城に行く亀の頭を撫でて「亀さ~ん。上、乗ってもいいですか?」その後に亀が大きくなる、仙台名物の牛たん紹介で「「肉汁トロットロ、牛のし・た」、最後に「あっ、という間にイケちゃう・・・」東京⇔仙台90分(東北新幹線)という言葉で締めくくられ終了という具合。壇蜜が喋るセリフゆえいっそう官能的なイメージ動画になっている。

動画が配信されるやいなや、アクセスが急増、それに伴い批判コメントが日々増えて、特にツイッターで炎上が加速した。県や市の窓口に寄せられたメールの9割が批判だったという。批判コメントの一部を紹介すると、「ゲスい」「クリエーティブのかけらもない」「こんなダサい自治体PR初めて見た」というものから「まるで宮城県全体が巨大な風〇店みたい」「行政が税金でつくったと思えない風俗店臭w」「税金でこれをつくった代理店は、公表されるべきだと思う」という声まで飛び出した。CMクリエーターからは「恐ろしくできが悪い」「面白くない」「美しくない」というの声が上がった。

炎上対応について問題点は

批判殺到にも関わらず、県知事が問題ないと説明した時点で意図的な炎上商法ではないのか、という疑問が出るのは仕方のないところだろう。この炎上の直前にサントリーが炎上騒ぎを起こしていて、それと同じ確信犯的な炎上ではないかとネットで話題になった。サントリーのCMが出張先で地元の女が癒す構図と似ている。他方では「〈家臣〉の女性が〈殿方におもてなし〉する」という設定でのエロを観光用PRに使うことを知事が推奨するって、本当にどうかしている」という声も上がっていた。つまりエロい動画PRを敢えて作って、その結果炎上することでアクセスを増やす、というやり方への批判である。

問題はサントリーの炎上と異なり、税金を投入し作成された動画が炎上したという点だ。それも復興関連予算から2300万円を充てていたことがその後明らかになっている。

村井県知事は立会演説会で、動画について「(過去に)資料作ったら『こんなの誰も見ない』というから面白いの作ろうと思って作ったら『いやらしい』と」と有権者の笑いを誘った、という当時の記事が出ていることからもわかるように、リスクを背負ってPR動画を流したということだ。結局、目標を大幅に上回る460万回の再生回数ののち、期限を前倒しして公開を終了している。

自治体には珍しく、批判をされても公開を続けたこと、アクセスさえ増えればいいと取れる発言を県知事がしたという点で、大いに批判されるべき炎上だと思う。なぜなら税金を使ってPRする以上、ジェンダー関係で問題になる手法をあえて取る必要はないし、ダイバーシティ(多様性)に富む街づくりが求められる時代に一体何をしているのか、という根源的なところで間違っていると感じるからだ。

ジェンダー視点で見た、4つの炎上事例を評価してみる

性的、エロ的な表現をしたために炎上した事例を、ひと括りにジェンダー炎上として紹介したが、各々それぞれ違った背景、そして内容で炎上している。ジェンダー関係で炎上では、表層的な面を捉えて批判することは簡単だが、それだけで終わってしまいがちだ。そこで4つの代表的な事例の違いを、ジェンダー炎上問題の深刻度別に★表示でまとめてみたい。

★  美濃加茂市「巨乳アニメ」炎上

美濃加茂市を舞台とする原作漫画のアニメに登場するキャラの一人が、巨乳だったためポスターに使用したことから炎上。アニメファンの誘致が目的の1つであり、敢えて巨乳キャラで目を引こうとしたわけではなく、炎上したのは思いがけないことだった。多くのアニメファンがこのポスターに理解を示していることから、★1つとした。何も知らない人がポスターを観たときどう思うか、ということに少し注意すれば、問題が起きてからキャラクターの差し替えをしないですんだ。今後のキャラ選定で気をつければ良いだけの話である。

★★ 鹿児島県・志布志市「うなぎ少女CM」炎上

うなぎを少女に見立てて、きれいな水だから美味しいうなぎに成長する、というCMの脚本そのものに問題がある。当然脚本には、校庭のプール、スクール水着の少女、育てる(養殖)、セリフの「養って」など、文字面だけでアウト!とわかるはずである。GOを出した志布志市の広報感覚の誤りがどこから来るのか、庁内でもよく議論すべき点ではないかと思う。意図は良くても表現が適切でなければ炎上することが事前にわからなかった点で★2つにした。

★★★サントリー「絶頂うまい出張」炎上

新製品のビールゆえに、思い切ったマーケティングで作られたCMに違いない。

だからある意味サントリーらしからぬ、男だけ目線で作られたCMになってしまった。出張先の店で女性が接待するイメージそのものが、ジェンダー炎上を呼び込んでいる。動画を見た消費者の女性たちは、「頂」ビールを見たとき他の銘柄を選択するだろうし、サントリーは会社のイメージを損なうことになったと思う。またサントリーで働く女性従業員たちが、この動画を見てどう感じるかという点で、ジェンダー炎上の深刻度は高いと考え★3つにした。

★★★★宮城県・PR動画「涼・宮城の夏」炎上

税金を投入したPR動画で、ジェンダー炎上しているにも関わらず、アクセス数が増えている理由から公開を中止しなかった点は大いに問題である。次に県の最高責任者である県知事が、ダイバーシティの街づくりを求められる時代に、こうした動画をよしとして、公開し続けた点も問題があると感じるため、★4つとした。

次回は、女性の役割押し付けが問題となったジェンダー炎上を取り上げ、SNS時代のCMづくりの難しさについて、観ていきたいと思う。

ナレッジ&コラム執筆者

執筆者

田淵 義朗(たぶち よしろう)

ソーシャルメディアリスク研究所代表
1956年神戸市生まれ。中央大学法学部法律学科卒業後、出版社やベンチャー企業経営を経て、ネット上のコンテンツビジネス/サービスのリスク管理コンサルティングに携わる。ネット風評対策・誹謗中傷対策・クレーム調査、法的対応(民亊、刑事)の証拠収集、予防のための経営層・従業員研修、などが専門。主な著書に「45分でわかる個人情報保護」(日経BP社)、「ネット〈攻撃・クレーム・中傷〉の傾向と即決対策」(明日香出版社)、ビデオ監修「ソーシャルメディアのリスク」(PHP研究所)など。

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