秘密情報は、どうやって決まる?
秘密情報とはそもそも、どうやって決まるのでしょうか。
たとえば社長が「これ秘密情報でよろしく」と言えば、次の日から社内では秘密情報になるのでしょうか。結論から言えば、それは「ノー」です。中小企業の社長には「オレが法律だ、秘密と言ったら秘密だ!」と言う人も居そうですが、言葉だけでは秘密になりません。何が秘密情報なのか、明示しなければなりませんし、社内でしっかり管理されていなければ秘密としての要件を満たさず、法律で保護されないことになっています。
会社でよくあるのは、「マル秘」「極秘」「厳秘」と言い方はまちまちですが、書類にハンコを押しまくるケースです。これも駄目です。以前はマル秘のハンコが押してある書類は全部秘密という「形式秘説」という考え方でしたが、近年は「実質秘説」が主流になっていて、裁判所の判決も大方その傾向にあります。
書類以外に、「今日の会議で出た話はしゃべっちゃ駄目」というようなケースもありますね。この場合、会議の主宰者が秘密と言えば、その会議の内容が秘密となってしまうのでしょうか。もしそうなら、「秘密だよ、秘密」と言っておけば安心だから、ほとんどの会議は秘密だらけになってしまいます。やはりこれも間違っています。
企業が重要と考える機密情報の中でも、企業の存在価値や競争力、競合他社のサービスとの差別化などに資する中核的な機密情報を、「営業秘密」として保護する法律があります。この法律では、法的に保護される秘密情報とはそもそも何かが定義されており、およそ企業にとって本当に重要な情報とそうでない情報との区分けに役立つと思われるのでここで紹介しておきましょう。
法律に触れる企業秘密(営業秘密)
その法律とは、「不正競争防止法」です。
市場における競争が公正に行われるようにするために立法されたもので、別名トレードシークレットとも言われています。フランチャイズ用語としても使われているので、フランチャイズビジネスに携わった人なら、一度は聞いたことがある言葉でしょう。
内容は、風評を流して競争相手を貶めたり、商品の形態を真似して商売をしたり、従業員などによる営業秘密(ノウハウや顧客情報など)の不正な取得、使用を取り締まる法律です。そこから不正競争防止という名称がついています。
なかでも、昨今は企業の秘密情報流出が後をたたないため、2009年に法改正が行われ、従来は逮捕できなかったケースにも、適用範囲が拡大されました。簡単に言うと、従来は媒体(CD-ROMとかUSBメモリなど)経由しか認められなかったのが、ネットワーク経由での不正取得も処罰対象となった点です。
第二に、従業員などが、秘密情報の記録された媒体を横領したり、複製する行為や、消去すべき記録を消去せずかつ消去したと仮装した場合も、処罰対象に加わりました。罰則は10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金で、相当に重い罪です。
2010年1月、改正されたこの法律が初めて適用され、犯人が捕まるという事件が起きました。「企業秘密 不正入手容疑で逮捕」の見出しで、初の事件のため、報道各社は大きく紙面で扱いました。事件の概要は次の通りです。
A容疑者は「組合の顧問を首になり、理事長に恨みがあった」と供述しました。不正に手に入れたID、パスワードで組合のサーバーに侵入、取得した情報を印字し、数回にわたり、複数の組合員に郵送したといいます。取得した情報には、販売先や数量などの流通情報が入っていました。この流通情報が営業秘密と認定されたのです。
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