誤爆とは
「誤爆」とは?
「誤爆」は「ごばく」と読みます。
もとは「誤って目的以外の場所を爆撃してしまうこと」という軍事用語です。
それが転じて、「本来書き込もうと思っていた場所と違う場所に書き込みをしてしまうこと」という意味のネットスラングの一種として使われるようになりました。
日常生活では、子どもが学校の先生に向かって「お母さん」と呼びかけてしまって恥ずかしい思いをした、というシチュエーションと似ているかもしれません。
しかし、ビジネスシーンでは時として「単純なミスでした」ということでは済まない場合もあります。
機密性の高い情報を誤って取引先にメールで送ってしまう誤送信を想像していただければわかりやすいでしょう。
ただ、これでもまだ謝れば済む場合もあるかもしれません。
今、メールの誤送信よりさらに恐ろしい誤爆は、やはりインターネット上で起こります。
SNSでの「誤爆」が「炎上」へ
特に「誤爆 Twitter」と検索していただければ、過去に実際に起こった身の毛もよだつような事例がたくさん出てきます。
・アニメの公式アカウントが、別のアニメの公式アカウントでツイートしなければならない内容をツイートしてしまった。
・公式アカウントの担当者の子どもが、担当者の不在時にスマートフォンを操作してしまったことで、アカウントとは無関係の内容がツイートされてしまった。
・有名人がプライベートの友人に送るはずだったメッセージをツイートしてしまった。
これはTwitterだけに限らず、LINE公式アカウントなどでも同様に起こり得ます。
文章であれば送信前に読み返すことである程度のミスを防げるかもしれませんが、LINEでは公式アカウントとは関係ないスタンプを送信してしまったという例があります。
スタンプは1回画面をタップしてしまっただけで内容が送信されてしまうので、Twitter以上に注意が必要かもしれません。
企業が運営する公式アカウントは、たくさんの人に見られています。
少なくとも数千、大手ともなると数万人規模です。
それだけの人がいれば、誰も投稿内容を見ていないということはほぼあり得ません。
何百人かは必ず投稿した瞬間に内容を読んでいるはずです。
すぐに間違いに気づき、投稿を削除したとしてもその数百人のうち、少なくとも数人が投稿内容の読んだあとすぐにキャプチャを撮っていると思って間違いありません。
Twitterで言えばもとツイートも一瞬のうちにリツイート(拡散)されますが、慌ててツイートを削除したとしても、そのキャプチャがツイートされ、拡散は続きます。
LINEなど他のSNSで起こった誤爆の内容も、拡散されやすい方法はTwitterです。
当然、他のユーザーのツイートをすぐに削除することはできません。
Twitter側に削除依頼を送っても瞬時に対応してもらえるわけでもありません。
対応を迷っているうちに時間だけが過ぎてしまい、騒ぎはTwitterの中だけでは収まらず、いずれツイートが様々なWebメディアに掲載されてしまいます。
こうして事態はわずか数十分のうちに、コントロール不可能な炎上へと発展するのです。
誤爆してしまったときの対処法
とにかく大切なのはスピードです。
時間を空けてしまうと、沈黙すら面白がれたり、怒りを買う要因になってしまいます。
いざというときどのように対応をするのか、予め社内でフローを決めてください。
基本的な対応としては、「削除」と「謝罪」は第一に行うべきことです。
ただし、削除から謝罪までの間を空けすぎてはいけません。
とはいえ、焦って謝罪文がお粗末なものになってもいけません。
起こらないに越したことはありませんが、「絶対」に起こらないということは誰も保証できませんので、予め準備しておくことをおすすめします。
当然、「乗っ取りの被害に遭った」などと下手に誤魔化をしてもいけません。
対応が早く、誠実であれば逆にプラスのイメージがつく場合もあります。
第一の謝罪投稿の後、社内では「なぜ誤爆が起こったのか」という原因の追及と再発防止策を立てることをすると思います。
できればその内容も追って投稿してください。
ただ謝るだけよりも、事態に対して真摯に向き合っていることが伝わります。
また、迷惑をかけてしまった相手がいる場合にも、合わせて謝罪内容を投稿しましょう。
もちろん先方には直接謝罪をするとは思いますが、「誰でも見れる場所」=TwitterであればTwitter上にも謝罪文を投稿することで、他のユーザー(相手のファンや騒ぎに注目している人々)にも対応の進捗を伝えられます。
誤爆を防ぐには
1.社内でダブルチェックを行う
社内で他の人に投稿の内容をチェックしてもらう体制をあらかじめ構築しておく方法も有効でしょう。
投稿の内容や配信時間含め同僚や上司にチェックしてもらうことで、誤爆する前に気づくことができる可能性があります。
ただし、個人で管理している端末から社外で投稿することが多い人にはあまり意味がない方法かもしれません。
社内から投稿することが多い人は、普段からこの体制にしておくと安心です。
運用方針として、Twitterのトレンドに乗ることも重要だとしている場合は、ややスピード感に欠ける仕組みになってしまう恐れもありますが、スピードとリスクをどう天秤にかけるかは社内でよく検討してみてください。
2.内容を考える人と投稿する人を分ける
社内で勤務時間のみに投稿する場合は、ダブルチェックと同様、良い方法だと思います。
誤字脱字や事実関係の勘違い等の初歩的な誤爆は1と2で防げるでしょう。
ただし、こちらもトレンドにいち早く反応できない可能性があります。
3.アカウントごとにアプリを分ける
運用担当が1人で、且つ社外から投稿するために個人で端末を管理しているという状況で効果を発揮します。
上記のように別々のプロジェクト間で投稿内容を間違えてしまった事例もあったので、複数のプロジェクトの情報を発信する場合にも有効です。
Twitterであれば長年運用されている信用できるクライアントがたくさんあります。
クライアントとは、Twitter公式のアプリとは別にTwitterをより良く操作することを目的として作成されたソフトウェアやアプリケーションのことを指します。
プロジェクトAでは公式アプリを使用し、プロジェクトBでは別のクライアントアプリを使用するという使い分けをすれば、そもそも端末でアプリを立ち上げた段階で、自分が投稿しようとしていたものと投稿しようとしていた場所の食い違いに気づくことができます。
また、セキュリティ上あまり良くない状況ではありますが、個人がプライベートで使用している端末と同じ端末から業務に関する投稿する場合にも効果的です。
プライベートの投稿を公式アプリから行い、業務に関する投稿をクライアントアプリから行うという使い分けができます。
(プライベートのアカウントでも誰かへの愚痴や不満など、他人に見られたら困るようなネガティブな内容は投稿しない方が良いに越したことはありませんが)
4.特定のアプリをロックするアプリを入れる
業務で使用するアプリを決めたら、アプリの立ち上げをロックするアプリをさらに入れると良いでしょう。
スマートフォンを起動させるためにパスワードでロックをかけている人は多いと思いますが、アプリをロックするアプリを入れれば、スマートフォンを起動されたとしても、アプリを使用されることは防げる確率が上がります。
そうすれば子どものいたずらや第三者による操作からアカウントを守ることができるでしょう。
自分が普段使用するにあたって毎回パスワードを入れるのは面倒ですが、端末を社外に持ち出す人は入れておいた方が良いかもしれません。
また、3でもアプリを新たに導入することをお勧めしましたが、そのアプリが本当に安全で信用できるものであるかどうかは、入れる前によく調べてください。
入れたアプリがスパムだった場合、逆に乗っ取りに遭って甚大な被害が出てしまう危険性があります。
5.端末を分ける
いっそ業務で使う端末と、個人的に使う端末は分けるという方法も効果的です。
費用はかかりますがセキュリティの面から考えても、できれば会社から支給してもらえた方が安心できます。
もちろん盗難のリスクも考えて、端末本体のセキュリティ対策をする必要はあります。
端末代とセキュリティにどこまで費用をかけるかも含めて、一度相談してみてください。
持ち歩く端末が物理的に増えてしまうのが煩わしいとは思いますが、これで誤爆はほぼ防げるでしょう。
風評対策と同様、誤爆も絶対に起こらない(起こさない)とは言い切れないものです。
普段から「こういう場合はどう対応するべきか」というリスクマネジメントをしておくことは非常に重要です。